『良い伏線』とは何か
物語において何を重視するかは、人によって大きく異なると思う。意外性を大事にする人もいれば、お約束を好む人もいるし、矛盾のないものを好む人もいれば、多少の粗があっても勢いがあるものを好む人もいる。
前置きが長くなったけど、僕は伏線が上手に使われている作品が好きだ。『伏線』は日常的にあまり使われない言葉なので、耳に馴染みのない方もいるかもしれない。
しかし、2ちゃんねるなどでは『伏線がすごい作品』がよく話題になっており、人々の中で伏線が作品評価の一つとなっていることがわかる。僕なりに伏線について語っていきたい。
伏線とは?
1 小説や戯曲などで、のちの展開に備えてそれに関連した事柄を前のほうでほのめかしておくこと。また、その事柄。「主人公の行動に伏線を敷く」
2 あとのことがうまくゆくように、前もってそれとなく用意しておくこと。また、そのもの。「断られたときのために伏線を張る」
goo国語辞書より
- 伏線の定義としては、上の様になっている。一つ注意しておきたいのは、ほのめかすという点だ。2ちゃんねるなどで伏線について語る際もこの点が度々議論になる。
- ほのめかすものが伏線であり、明らかに予想が立つものがフラグと分けられるかもしれない。ベタな例を挙げると、A「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ。」
- これは所謂死亡フラグであり、この発言ののちにAは死亡するであろうと読者が経験から予想することができる。つまり、フラグや謎は後に使われることが予想できるもので、伏線とは使われた後に初めて伏線であると認識できるものである。
- 次に、良い伏線について考えて見たい
良い伏線とは
僕は、良い伏線に必要なのは二点だと思う。それは、『さりげなさ』と『印象的であること』である。前述の通り伏線とは、ほのめかすものである。そのため、読んでいる最中に読者に『後々、この設定使われそうだな』と気づかれてしまってはいけない。さりげないことが大切だ。一方で、度が過ぎてしまうと誰も伏線に気づかないので印象的であることが大切だ。この二つは対立している様にも思えるので、伏線を上手に貼ることは難しく、それが綺麗に回収されると感動を覚えるのだろう。
以上の二点から考えられる伏線の貼り方の一つは、『登場人物同士の、物語上では必要ではないが、印象的な会話』である。この手法を上手に使っている作家が伊坂幸太郎だと思う。
色々語ったけど結局は伊坂幸太郎の伏線回収がめちゃくちゃ綺麗で最高ってことです。。みんなも読んでね。